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南あわじ市の保育料無料制度、明石市の不登校対策を学ぶ - 行政視察報告 - 市議会議員 梶原秀明

南あわじ市役所前の梶原市議(右から2人目)
南あわじ市役所前の梶原市議(右から2人目)
市議会の教育まちづくり委員会委員として12日・13日の両日、兵庫県南あわじ市の幼稚園保育料無料制度と、明石市の不登校予防の早期対応システムを視察しました。

1日目の南あわじ市は、文字通り淡路島の南部に位置し人口約49400人。10年前に旧4町が合併。当時の人口から約5千人減るなか、人口減少対策にも力を入れています。

当市では2007年度から14年度まで3歳児以上第2子以降の保育料を無料にし、15年度からは保育園と幼稚園の全ての児童の保育料を給食費を除き無料としました。3歳以上の就学前児童は約1100人、うち4〜5百人が、15年度から無料となっています。その効果としては、他の子育て支援事業との相乗効果で「出生数の底止まり効果はあったと考えられる」とのことでした。

蕨市以上に財政が厳しい(財政規模は蕨とほぼ同じだが、地方交付税は蕨市が約16億円に対し当市は約100億円)なか、保育料無料制度に1億9千万円もの予算をあてています。他に、新婚世帯家賃補助、通勤・通学交通費助成、出産祝い金、子ども医療費助成などの施策をしていました。

2日目の明石市では、不登校の改善には予防と早期発見が最も有効との認識で、11年度から「ストップ不登校」事業を始めました。

当市の中学生の不登校出現率は4・1%で、全国平均の2・8%(09年度)より高いとの危機感から、07年度に臨床心理学の専門家である井上雅彦准教授(当時、現・鳥取大学大学院教授)の指導で導入したもの。

具体的には、連続欠席3日、または年度内断続欠席7日になると、担任教諭が欠席連絡シート・実態把握シート・校内対応連絡シートの3様式を、教育委員会のスクールカウンセラーにファクスします。教師の負担増にならないよう、例えば、生徒の事情として「学業不振」「発達障害の傾向が見られる」「友人関係で気になる様子が見られる」「家庭内で気になる様子が見られる」など、用紙に選択肢があらかじめ記載され、これをチェックできるようになっています。これらを元に、学校・学年、スクールカウンセラー、児童福祉部門などが連携しチームで対応します。

説明を聞いていて、深刻な事態にならないように対応していく仕組みがよくわかりました。取り組みの結果、最近での不登校は3・5%に減っています。仕組みを説明してくれたスクールカウンセラーは、不登校の背景として、親の失業や学校への無関心、生徒が下の子の面倒を見ている、発達障害が疑われる、家の中が片付いていない、などがあると語り、貧困と格差の社会問題が横たわっていることもよくわかります。ちなみに蕨市の中学生の不登校出現率は1%強と推定され、明石市と3倍もの開きがあるのはなぜかと考えると、蕨では教育への市民の関心が高く、地域コミュニティーも豊かで、大人の目が子どもに比較的深く届いていることなどがあると感じました。

両市の視察は、蕨での今後の議会活動に役立つものとなりました。