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昨年度国保決算を承認/国保広域化、最初の審議おこなう
国保運営協議会報告‐協議会委員 梶原秀明

2016年第2回国民健康保険運営協議会が18日に市役所内であり出席しました。審議事項は、15年度国民健康保険特別会計決算認定と、その他として国保の制度改革です。

会議の冒頭で頼高英雄市長があいさつ。昨年度に健康長寿のまちづくり事業を実施したが、1年間の結果を受けて埼玉県から優良賞を受け、県から蕨市が受け取る交付金が500万円上乗せになったことなど、報告がありました。

15年度国保会計決算は、歳入合計は約90億3593万円。前年より約11%増えました。これは、保険財政安定化事業の対象が、従来の10万円超の医療費から、15年度から全ての医療費に拡大されたことにより、歳入の共同事業交付金が約10億円増え約20億3185万円となったことが大きな原因です。それ以外の歳入構成に大きな変化はありません。国保税の値上げを抑えるための一般会計からの繰入金は約8億2795万円(前年度比約1億2618万円増)でした。

歳出の合計は約89億2856万円。うち保険給付費は約50億7138万円(前年比約1466万円(0・3%)増)でC型肝炎の新薬などで調剤費が増えました。歳入歳出差し引き、約1億737万円は次年度に繰り越します。決算は全委員が賛成し承認されました。

国民健康保険制度改革について審議

協議会では国民健康保険の制度改革、いわゆる埼玉県単位の広域化について、事務局から厚生労働省作成の資料に基づき説明がありました。厚労省の資料では、「2018年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化」するとしています。しかし政府・厚労省の考えは、「制度の安定化」の名のもとに、被保険者の負担を増やし国の社会保障費を削減することが大本の狙いにあり、これには全国的に批判が高まっています。全国知事会、市長会などは国に対し、国の補助を増やすべきと意見を従来から出しています。

厚労省の説明では、国保広域化により、県の役割は、財政運営の責任、市町村ごとの納付金と標準保険料率等の設定、市町村が行った保険給付の点検と事後調整、市町村が担う事務の標準化・効率化・広域化を促進、となります。一方、市町村の役割は、被保険者証等の発行(名称は県名)、保険料率の決定・賦課・徴収、保険給付、保健事業となります。埼玉県は、県内各市町村の医療費水準と所得水準を考慮して、納付金を決めます。例えば、一人当たりの医療費が多い市町村や、一人当たりの所得が高い市町村は、県に支払う納付金が他の自治体よりも多くなるということです。

さらに県は、市町村ごとにあるべき収納率を定め、その収納率を前提に、納付金にみあう保険料率を、標準保険料率として定めます。実際の保険料率は市町村が条例で定めるので、標準よりも高い料率にすることも低い料率にすることも可能です。ただし国の規定で、標準保険料率は公開されるため、保険料率を統一する(蕨市の被保険者にとっては料率が上がり、大幅な値上げになる)テコともなりえます。県によって標準保険料率が高く設定されたとしても、蕨市においては、従来の低い保険料率を維持することが望まれます。

今後、埼玉県は12月までに、納付金と標準保険料率を定めます。さらに県は、県内の統一的な運営方針となる国保運営方針(国保の医療費・財政見通し、各市町村の規模別の標準的な収納率など)を来年4月頃に示します。

説明を受けて各委員から、国保税の値上げへの懸念、国の補助が、減らされていることが問題であるとの感想、などが出されました。蕨市国保の保険料率の設定については今後、運営協議会に諮問したいとの見通しが事務局から示されました。