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【9月市議会】日本一住みやすいまちをめざして - 蕨市15年度一般会計決算認定に質疑 - 市会議員 梶原秀明

頼高英雄市長は2015年度予算を、日本一住みやすいまちをめざす、蕨市将来ビジョンを推進させる予算として編成しました。私は、7日の市議会本会議で、1年間の市政の結果である決算について質疑しました。以下は、その概要です。

◆市民のくらしを支える施策
【子育て支援】(1)地方創生交付金を活用し、第3子の保育料を無料としました。29人が該当。うち新たに無料となったのは11人(従来の蕨の制度での無料は18人)。(2)保育園の待機児童は4月時点で3人ですが、隠れ待機は41人です。年度で最も待機児が多くなる12月時点で比較したのが表1です。来年4月の新たな認可保育園の確実な開園が待たれます。

【家具転倒防止器具補助金】要介護者・障がい者等に対象を限定した15年度は15件の申請にとどまったが、今年度は8月末までに42件の申請があります。

【住宅リフォーム制度】国の交付金を活用し、補助額を2倍に引き上げたことで、72件、約831万円を市民に補助しました。市内事業者への発注総額は約1億402万円で、工事箇所は、浴室・台所・トイレが多い。

【3世代ふれあい家族住宅取得補助制度】同居10件、近居10件で、計520万円を市民に補助しました。うち9世帯が転入、残りが引き続き市内居住で、子育て世帯70人の定住促進がはかれました。

【災害対策備蓄品】主食や飲料水、衛生用品、避難所で使う機材などを計画的に整備しています。トイレ処理セットについては、避難者、帰宅困難者、下水道機能支障世帯の3日分を目標に増やしていて、災害時には、居宅へも配布する計画です。

【介護保険料軽減】国の制度を活用し保険料第1段階3323人に、一人3131円、総額約1040万円軽減しました。

【生活保護】(1)年度末の保護受給世帯は1234世帯(前年比35増)。うち高齢者世帯が12年度453、13年度504、14年度528、15年度581、と増えています。これは全国的傾向で、暮らしに困ってる高齢者が増えていることを反映しています。(2)生活保護費に市は8億円持ち出しているとの、誤った議論が一部にある点について質疑しました。総務部長が、「地方交付税の基準財政需要額における生活保護費の算定額は約7億69百万円」と答弁。15年度決算で、生活保護扶助費28億18百万円から、国負担金20億54百万円を差し引いた市負担分は約7億64百万円であり、ほぼ全額が地方交付税措置されていることが分かります。

【生活困窮者支援事業】(1)法にもとづき15年度開始の事業です。相談者数は140人(うち匿名10人)、住宅確保給付が2人。家計相談7人、学習支援(中学生)10人。相談者は匿名をのぞく130人のうち、40歳代・50歳代の働き盛りが45%、若い世代(30歳代以下)19%など、全世代から相談があり、雇用や暮らしの厳しさを反映しています。(2)特に困窮している10人に支援プランをつくり支援を継続しています。その相談内容は、失業、高齢での生活苦、子どもが多く生活費が足りない、高齢の親を介護するため仕事をやめている、精神的な病気、などです。

【DV相談が大きく増える】15年度に正式に、配偶者間暴力(DV)相談支援センターが発足した結果、相談件数は13年度132件、14年度118件、から15年度231件と大きく増えました。専門家を配置し権限も高まり、より迅速な相談が可能となっています。

【音楽によるまちづくり事業】15年度からの新規事業。15年3月の市民懇談会の提言「賑わい創出、子どもなどが身近に音楽に触れること、多くの市民に音楽情報を知ってもらう」をもとに、「蕨市民音楽祭」「子ども音楽大学わらび」などを実施しました。教育部長は、これら事業は、市民の芸術文化の振興に着実に寄与している、と答えました。

【ウォーキングと筋力アップ】県から健康長寿プロジェクトとして優良賞を受けました。参加者のうち、身体活動レベルが「上位に移行」31%(「下位に移行」10%)とレベル向上に効果が見られ、医療費抑制では、一人年間約2万円の効果が検証できました。

【コミュニティバス利用者増える】総利用者数は20万817人(うち無料利用は8万8751人)。有料利用者は前年より1408人増えました。

◆市政全般について
 市民の所得状況や市財政について質疑しました。主な答弁は次のとおりです。

【借入金】市全体の借金は頼高市長就任前の約363億円から15年度末は311・7億円で、約51億円圧縮しました。

【市財政】土地開発公社の健全化(土地の買い戻し)と基金増で、「将来負担比率」が改善しています。今後は、公共施設の耐震化等多額の財政需要を見込み、公債費は今年度から増に転じるなど、財政は厳しくなると考えている、と総務部長が答えました。

【職員数】第3次蕨市定員適正化計画にもとづき定員管理をしています。この3年間で正規職員は12人減り623人。内訳は生活保護部門5人増、保育部門2人増。市立病院9人減、小中学校(業務員)5人減など。

【市民の所得】給与所得者の所得別人数割合は表2のとおりです。所得300万円以下の市民の割合が増え、700万円超の割合が減り、格差が広がっています。総務部長は、2008年秋の「リーマンショック以降厳しい状況が続いている。経済状況の改善が不可欠」との認識を示しました。

私は、市長に、(1)市民の所得状況(2)低所得者対策(3)財政状況と、市役所の耐震化など今後の施設整備、を問いました。

【市長答弁】(1)アンケートでも景気回復の実感はないという声が多数だ。市民・国民の所得が増えることが大事であり、機会をとらえてそうした経済政策を(国に)求めていきたい。(2)学習支援、就学援助拡大など、特に貧困の連鎖を断ち切ることに力を入れ取り組んでいる。(3)大きな施設の耐震化などに対処する体力がついてきていると考えている。

(エクセルデータ:待機児童数推移、所得別人数・割合推移(2015年度決算答弁より))