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2018年度 蕨市の事業・施策その7 蕨駅西口再開発事業(下)

 今週は、再開発の制度や蕨駅西口再開発の経緯を中心に解説します。

=再開発事業とは=
 この事業の正式名称は「蕨駅西口地区第1種市街地再開発事業」。いわゆる市街地再開発の中でも権利変換方式(第1種)といわれるものです。土地の高度利用(高層ビルの建設など)によって生み出される新たな床(保留床)の処分(新しい居住者や営業者への売却等)により、事業費をまかないます。従前の建物・土地の所有者は、その資産評価に見合う再開発ビルの床(権利床)を受け取ります。本事業で、蕨市は、都市計画決定や補助金の交付、公共施設(道路など)管理者としてかかわるとともに、地域内に土地を所有するため権利者でもあります。

=前市長時代の経緯=
 前市長の時代に旧貨物駅跡地を取得したことを契機に、再開発の具体化がすすめられました。当初の計画は、総事業費322億円、市の負担が119億円という膨大なもの。その後、区域を旧貨物駅跡地全域(2・4ヘクタール)から駅よりの部分(1・9ヘクタール)に縮小し3工区に分割する計画に変更(2005年)。しかし、市の負担は約20億円。当時の中央第一区画整理事業と合わせて「100億円の大型開発」との批判が広がっていました。
一方で、同事業にかかわる都市計画決定(変更)、第1工区(7番街区)の事業認可と着工に向けた手続きが進められていました。

=頼高市長就任以降=
「むだづかいの一掃」などを掲げて頼高市長が初当選したのは事業認可の直後。早速、同事業についての検討が行われ、1工区については(1)市負担の軽減、(2)事業主体の組合に最大限の情報公開を求める、(3)永続的に自由通路として使用できるプロムナードの確認、(4)店舗は公益的なものとすることなどの対応方針が示されました。その後、第1工区は2010年に竣工。
 第2工区第3工区については、蕨駅西口駅前まちづくり市民検討委員会の報告を受け、市の対応方針を検討。10年3月議会の施政方針で市長は、「市負担の大幅な軽減(マニフェスト)」に沿った見直しを行うとともに、事業成立性、経緯や権利者の意向・気運への配慮、国・県の補助金の動向などの観点で検討が行われてきたことを表明。駅前広場の拡幅は最小限にすること、過度の公共施設整備を行わないことなど「負担軽減」の手法を示しました。
 その後、検討が重ねられ、14年には権利者などが準備組合を設立。施設建築物の検討や関係機関との協議が進められてきました。
 なお、党市議団への説明や議会での答弁などでは、事業に同意していない権利者が残されていること、蕨市が取得する権利床の面積や形状は、今後、事業化の検討の中で決まってくることなども示されています。
 党市議団は、対応方針について再開発に固執せずに見直しを図ることを要望。準備組合設立後は、「蕨駅 西口再開発計画の第2・第3工区については、市負担を最小限にする観点から見直しをはかるとともに、市民要望をいかした駅前整備事業を行う(予算要望書)」ことを求めてきました。