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歴史民俗資料館・第27回平和祈念展を見て - 市会議員 鈴木 智

平和祈念展の入り口(歴史民俗資料館2階)
平和祈念展の入り口(歴史民俗資料館2階)
蕨市立歴史民俗資料館で開催中の第27回平和祈念展(9月25日まで)を見学しました。今年のテーマは、「銃後の女性たち」(左写真)。「この悲劇を二度と繰り返さないためにも『戦争』という事実・記憶を次の世代に伝えていかなければならない…」「今回は、当時の女性の活動や暮らしの道具などを中心にご紹介しながら平和の尊さを考えていきたいと思います。」と案内チラシにある通り、地域で活動した女性たちや軍需工場や軍事教練に駆り出された女子生徒などにゆかりの写真や品々、女性から戦地に送った品、食料や物資の不足の家庭への影響などが数多く展示されています。

国防婦人会蕨町支部の結成式や軍事教練の様子を写した写真の女性たちは、一見、誇らしげに、力強く見えます。しかし、その後の歴史は、戦争の激化、泥沼化で、国内外で多くの人命が奪われる悲惨な事態へと急速に進んでいきます。蕨でも3回の空襲で50人もの死者を出すなど多くの被害に見舞われました。暮らしや考え方まで国の政策で縛られ、戦争遂行に利用される。歴史の中で国策に翻弄された国民の姿が、暮らしの場に残された女性たちを通して見えてきました。

展示場の入り口近くには、蕨の空襲被害を記した地図や戦況などを報道した当時の新聞も展示されています。アッツ島の玉砕(全滅)や特攻作戦という悲惨な戦況や、広島への原爆投下でさえ、国民の戦意高揚という目的のもとに描かれた紙面であることが分かります。

今日、安倍政権の下で、マスコミへの政治介入、戦争法・安保法制の具体化など、戦争する国づくりが懸念される現実の問題が広がっています。今回の見学は、かつての蕨の人たちの姿や暮らしを見ることで、今日の状況を一層深く考える機会となりました。