index
市民とつくる図書館―指定管理制度の問題点を学ぶ

 7月11日、戸田市公共施設再編を考える会が主催する学習会「市民とつくる図書館」が開催されました。同会は、戸田市が進める公共施設再編計画に対して、市民目線で考えようと結成されたもの。この日は、戸田市が検討している図書館の指定管理をテーマに、杉戸町図書館友の会の濱田幸子氏、埼玉自治体問題研究所の木村芳裕氏を講師に招き行われました。なお、党蕨市議団からも鈴木智議員、山脇紀子議員が出席しました。
 
はじめに、濱田氏は、これまでの運動の中で、昨年11月、高市総務大臣が、「図書館のトップランナー方式(民間委託や指定管理者制度等の活用などで、特に「合理化」を進めている自治体に交付税等で有利な扱いを行う制度)導入を見送る」と答弁し、教育機関としての重要性に鑑み、司書を地方自治体の職員として配置することが適切との立場を示したことを紹介。「アメリカ社会に役立つ図書館の12か条」、図書館友の会全国連絡会の「私たちの図書館宣言」、日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」にふれ、公立図書館は、市民の知る権利、学習する権利、参政権、文化的な生活を送る権利などの基本的人権を社会的仕組みによって保障し、民主主義を支えるものと強調しました。
 一方で全国に広がる図書館の指定管理化について、利益を上げる上で「資料収集の自由」「資料提供の自由」「利用者の秘密を守る」などで問題が生じている例があることや、自治体から市民のための図書館運営のノウハウが失われていく、ワーキングプアの温床となるなどの問題を指摘。指定管理になり目新しさなどで一時的に貸し出し数が増えても、時とともに以前より低くなっているケースも多いと指摘し、公立図書館の役割を果たしていく重要性を強調しました。

 続いて、木村氏は、利用者本位の活動を続ける図書館の実例を紹介。図書館本来の役割を維持したい有志によるNPOが指定管理者となっている例では、素晴らしい運営が行われているものの、ふさわしい労働条件が確保できない問題が紹介され、改めて、自治体の責任で図書館が運営される重要性が示されました。

 参加者からは、戸田市での図書館指定管理化について、その問題点を一層明らかにし、市や市民にも働きかけたいとの思いが語られました。

 蕨市では、議会での一部議員が図書館の民営化・指定管理化を求める質問を行いました。これに対し、市は、今日的課題の一つとしながらも、「事業の継続性、安定性等に課題がある」との見解を示しています。