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国保の都道府県化・課題と対策について学ぶ - 党・全県地方議員会議  市議会議員 鈴木 智

国保の広域化問題を論じる谷本氏h
国保の広域化問題を論じる谷本氏h
日本共産党埼玉県委員会の全県地方議員会議2日目は、党中央委員会の谷本諭政策委員が「国保の都道府県化―課題と対策を考える」と題し講演しました。なお、この問題での蕨市の対応状況については、本紙1面の国保運営協議会報告の記事を参照してください。

谷本氏は、来年4月に実施がせまった制度変更について、(1)都道府県が市町村に「標準保険税(料)率」を示すことで「給付に見合った保険料」へ誘導する狙いがある、(2)地方自治体が国保財政を支えるために行っている一般会計からの繰入を「良い繰入」と「悪い繰入」に分けに峻別し、住民の負担引き下げなどを目的にした市町村独自の繰入の解消をせまる、(3)医療給付の抑制や保険税(料)の徴収強化で自治体の「努力」を採点し「見える化」によって競わせるなどの問題点があることを指摘。医療費適正化計画や地域医療構想など他の施策とも一体に医療費削減を進めることで、地域医療にも重大な影響を及ぼすと危険性を強調しました。さらに、保険者努力支援制度について説明し、自治体の努力を「採点」し、医療給付費削減や繰入解消へ誘導するものと解説しました。

講演の後半は、不当な圧力を跳ね返し、住民本位の国保制度の改善を勝ち取る展望について。かつては農林水産業者と自営業者が主だった加入者が、最近では被用者と無職、実態としては非正規労働者と年金生活者中心になってきた推移を説明しました。また、「他の健康保険制度に比べ、加入者は低所得者が多いのに保険料は高い」という国保の構造的な問題は国も認めていること、その下で、新制度でも市町村による公費繰り入れは可能となったことを紹介し、自治体による負担軽減の可能性を指摘。最後に、2019年の政治戦で国民世論を喚起し、国保政策の根本的な転換を図ることの重要性を様々な角度から訴えました。

来年4月からの制度変更に向けて、蕨市の対応が具体的に議論されることになります。また、市民と野党の共闘を広げ、安倍政権の社会保障を破壊する暴走にストップをかけていく運動も求められます。今回の研修では、そうした論戦や運動に臨むうえで大切な視点を学ぶことができました。