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子どもたちの人間らしい育ちを守るのは私たち
全国保育団体合同研究集会に参加

8月5日〜7日、第49回全国保育団体合同研究集会が埼玉県内で開催されました。6日、獨協大学で開かれた特別講座とシンポジウムに参加してきました。

「幸せな日々の中に教育はある〜保育指針・教育要領等の改定をどう見るか」と題して、大宮勇雄福島大学教授が講演しました。保育所保育指針と幼稚園教育要領の改定が2018年4月から施行されます。これまでの保育指針は、保育現場が参考にする指針であったものを、2008年改定から法的拘束力をもたせる改悪を行いました。 大宮氏は、要領・指針の改定の特徴を、政治的な圧力と国旗・国歌に親しむことが強調され、変更箇所の多くが「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」と関わっていると説明。改定にある「育ってほしい10 の姿」の問題点として、1 知識・スキルだけじゃない幅広い人間性を育てる「非認知能力がベース」になっている、2「きまりだから守る」「しなければならないことを自覚する」など自己抑制・自己コントロールが中心、3 発達論として問題がある「自己抑制の発達が幼児期の特性」と位置づける、との3つの特徴を具体的に問題であると指摘しました。また、育ってほしい姿をもとに子どもを目標到達度によって評価をしようとしていると批判。「いまこそ、私たちの手で乳幼児期の大切な育ちの姿を豊かにしていこう。原点として日本国憲法の『国民主権』『基本的人権』『学ぶことは子どもの権利』によって成り立つ」とまとめました。

午後からのシンポジウムでは「保育士の労働の現状と改善のための視点」と題して箕輪明子名城大学教授が話しました。子どもの権利を保障するためには保育者の権利も保障されなければ、よりよい保育をできる体制づくりはできないと述べました。

「待機児童解消と保育士の処遇改善の問題」として村山祐一氏(元帝京大学教授・保育研究所)が講演。千葉市のとりくみを紹介し、すべての保育士の処遇改善は国・県・自治体が一体的にとりくむことが必要と訴えました。

講師を囲んで保育士や私立保育園や学童保育の経営者、保育研究者などから多くの質問や提案がだされ、交流しました。 保育指針の改定については今後どのような立場で考えていくか、大変勉強となりました。また、千葉県の処遇改善事業(私立保育園保育士1名につき月額2万円)や、野田市の公契約条例(保育士時給1049円)で保育士の最低賃金の底上げを図っている等、他自治体のとりくみを参考に、これからの保育行政にいかしていきたいと思いました。