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ヘルスアップ事業と公立病院の経営を視察 - 環境福祉経済常任委員会視察(10月23日、24日)

尼崎市の話を聞く委員会メンバー(最右が梶原市議、手前左から2人目が宮下市議)
尼崎市の話を聞く委員会メンバー(最右が梶原市議、手前左から2人目が宮下市議)
環境福祉経済常任委員会は10月23日に兵庫県尼崎市、24日に京都府亀岡市を視察しました。

尼崎市は人口約21万3千人、面積50・7平方キロメートル。当市のヘルスアップ尼崎戦略事業を視察しました。当市では、市職員の在職死が多かったことから、平成12年度から16年度に職員に対する生活習慣病対策を実施し、在職死亡と休職者数が減る成果をあげたことをもとに、この事業を、平成17年度から国保の被保険者へ、21年度から国保以外の若年層へ、さらには、24年度から全市民にひろげ、推進体制として副市長を座長、現在は市長を座長とする部局横断的なヘルスアップ尼崎戦略推進会議を設置しました。推進会議は、市の役割を「予防指標を超える市民の割合を減らすことを目標とする」「市民にも予防指標を越えないことを目標にして捉えてもらえるよう、学習の場を提供する」とし、市の役割を「予防指標を超えないよう、生活週刊改善に取り組む」としました。会議の元に部会を設け、学校教育部長が部会長の保育・学校教育部会、ヘルスアップ戦略担当部長が部会長の重症化予防部会、福祉部長が部会長の介護予防対策部会など、6つの専門部会をおいています。

市民の検診データは診療機関などから取り寄せ、すべて市で一元化していて、誰がどのような経過で重症化にいたったかのか、どの段階で本来の予防対策が必要だったのかを分析し、生活習慣病の発症予防・重症化を防ぐ流れをつくり実践しています。その結果、平成20年度から27年度の近隣7市との比較で、7市平均より一人当たり9千円の医療費の抑制になったとのことです。また、検診未受診者の通院医療費は一人27607円に対し、保健指導利用者で20248円と、保健指導の効果も上がっています(19・20年度結果)。

当事業の特徴の一つは、生活習慣病予備群の実態と課題をつかむため、小学5年生と中学2年生への検診を夏休み中などに実施していることです。小中学生の食生活状況も把握し、炭水化物、糖、油の多い料理をとる子と、肥満の子の相関の分析もしています。生活習慣病対策の重要性をデータで示していることから、小5での受診率は35%、中2の受診率は20%と比較的高く、家庭と学校の協力も得られているとのことでした。子どもに対し良かれと思って保護者がつくっていた食事が、実は健康を害するリスクが高いと知り、家庭での食事の改善のきっかけになったとの感想も出ているとのことです。

市民への周知として「尼崎健診べんり帳」を2年に1回発行し、誰がどんな検診を受けるのか、57歳で心筋梗塞になった人の37歳からの健康状態の事例を示し、健診の重要性をPRすること、女性のみ参加のレディース健診デイの案内、コンビニエンスストアを会場とする健診の案内、市民が30人以上集まれば出張健診をおこなうこと、健診を受けるとポイントがたまることなどを、べんり帳に示し、受診率を上げる工夫をしています。また、毎年健診を受ける人、健診に来たり来なかったりする人、4年間で一度も健診していない人、それぞれで分けて対応していることもわかりました。

尼崎市特有の先進的施策が多数あることがわかり、蕨市での今後の保健事業への見識を高めることができました。
亀岡市立病院であいさつをする梶原市議(立っている人、一番左が宮下市議)
亀岡市立病院であいさつをする梶原市議(立っている人、一番左が宮下市議)
2日目は、亀岡市の亀岡市立病院を視察しました。亀岡市の人口は約9万人で京都に隣接し人口は増えています。面積は約225平方km、蕨市の44倍と広大です。亀岡市立病院は、病床数100で2004年6月開設した歴史の新しい病院です。しかし開設当初から赤字が続き、10年に初めて経常黒字を計上。100床のうち10床を地域包括ケア病床として15年度から運用を開始、その後17年度に10床増やし、現在は、急性期病床80、地域包括ケア病床20の構成です。

病院は01年度から03年度までに総事業費59億3200万円をかけて整備。うち建設工事費は33億4500万円で、1床あたり3300万円をかかったのは、民間病院では1床あたり2000万円程度とのことで、やや贅沢なつくりとの説明もありました。財源のうち国と京都府の補助金は合計3億8100万円。起債は52億1700万円で、起債のうち4割が交付税措置されるため、実質約32億円の負債を、毎年2億円程度ずつ返済し、これも一定の負担になっているとのことでした。

14年度には資本金の約半分をとりくずし(減資し)、累積欠損金を縮小する対策をとったものの、15年度に急性期病床の診療報酬を減らす国の改定や、公営企業会計方針の変更などで、単年度で約4億円の赤字となり、16年度も約2億8千万円の赤字で、16年度末の累積欠損金は8億円を超えています。

病院理念としては、急性期医療を中心とした適切かつ良質な医療を提供すること、地域医療の向上に貢献すること、公共性と経済性を考慮し、市民の理解と信頼が得られる透明性のある病院運営をおこなうこと、などを掲げています。

亀岡市立病院ではこうした中、17年度から20年度までを期間に「亀岡市立病院新改革プラン」をスタートさせ、20年度の黒字化をめざします。プランでは、収益が減っている外部要因として、京都市に患者が流出していること、回復期病床が不足していることなどを分析し、急性期病床の見直し(減床)と回復期病床を増やしていく方針を立てています。また、内部の課題として、100床から199床の黒字病院との比較分析を行い、入院ベッドの稼働率が6割台と低いこと、人件費比率が74%と高いことなどを明らかにし、今後は、院内外の急性期病床から、当院の回復期病床への転換をはかる方針を立て、地域包括ケア病床を増やすこととしました。地域包括ケア病床では、急性期を脱して症状が少し軽くなっているが、在宅での療養はまだ難しい段階の患者を受け入れるとの説明でした。地域包括ケア病床は、実施してみると、病床稼働率が8割近くに高まり、経営上もプラスの効果が出ているとのことでした。

改革プランでは他に、病院スタッフで課題と対策をコンピューターサーバ上で共有し、具体的な施策と目標に対して、進捗と結果に対するコメントを、現場で数値を入力してもらい、病院スタッフに病院経営に参画する意識を高めてもらう工夫もしていました。この活動で、救急患者の受け入れ率(応需率)を高める、今年度第一四半期の病床稼働率が81%に高まる、病院の知名度向上の取り組みとして、専門家による健康講座などを開催するなどの工夫も進んでいます。

蕨市立病院よりも厳しい経営を強いられている状況がわかり、公立病院としての公共性の維持、病院経営に対するスタッフの意識の醸成など、蕨市と共通の課題があることもわかり、意義深い視察となりました。