「合併推進決議」に対する質疑への答弁で、「決議」を出した会派の無責任さが明らかになる

蕨市議会9月定例会で、新政会と公明党から「川口市・蕨市・鳩ヶ谷市の三市合併の推進を強く求める決議」が出された(本誌10月5日付既報)ことに怒りを持った読者から、「推進決議」に対する質疑への答弁が知りたいとの要望が出されましたので、特徴的な部分を紹介いたします。
この決議は、新政会(庄野・比企・川島・今井・岡田・田中・須賀・江崎(各議員、以下同じ))と公明党(石毛・松本・鈴木厳・堀川)の全議員が提出者で賛成、日本共産党(志村・清水・山脇・鈴木智・梶原)、市民ネット21(池上・染谷・新藤・尾崎)、連合(小林・一関)の反対(議長は採決に加わらず)により可決されました。
以下の質疑での【答】はすべて、提案者である須賀博史議員(新政会)です。

【質・一関議員】合併のメリット・デメリットは何か。
【答】メリットとは行政の構造改革と地方分権の実現。デメリットは市役所が遠くなることと市名がなくなること。それ以上の深いことはよくわからない。
【質・一関議員】住民投票の実施をどう考えるのか。
【答】住民投票の段階にはまだない。
【質・鈴木智議員】これまで議会でもメリット・デメリットは議論してきたはず。どう考えるのか。
【答】私自身全くちょっとのことしかわからない。
【質・清水議員】議会の意志を示す重要な決議を、なぜ議会最終日に突然(注1)だすのか。
【答】提出者(12名)の全員の判断だ。合併協議会脱会決議(三月議会)も突然出てきた(注2)。(それへの)報復とは言いませんけど。
【質・清水議員】合併はまだ協議の段階なのになぜ推進という結論を出すのか。
【答】合併ありきではない。合併協議を進めるための決議だ。
【質・池上議員、山脇議員】田中市長の得票率29%の結果からなぜ市民が合併に期待していると言えるのか。
【答】法廷得票主義から言って、合併推進をとなえた市長の当選は、合併への市民の期待の表れといっていい。(市長選の得票率については)どうのこうの言わないほうがいい。29%でも勝ちは勝ちなんですから。
【質・梶原議員】メリット・デメリットを具体的に。
【答】合併により歳出を抑制できる。人口増と企業進出が期待でき増収もはかれる。
【質・梶原議員】全国で多く失敗している大型開発に期待するのか。増収の根拠は。
【答】法人税とかはわかりません。財政の話しは新政会でもしたことない。財政は梶原さんのほうが詳しいでしょう。
【質・志村議員】市民にとって(国保税・都市計画税など)負担が高くなる可能性が高くなるのではないか。
【答】仮定の質問には答えられない。合併協議のあとで質問してほしい。
【質・志村議員】合併すると市民要望が実現しやすくなるというがその根拠は。
【答】合併したほうが財政がよくなるだろうから。
【質・志村議員】具体的にどうよくなるのか。
【答】(詳しいことは)わからない。わからないことはわからないと言っている。
【質・新藤議員】国保税・都市計画税が川口市のほうが高いことをどう考えるのか。
【答】税については勉強していないのでよくわからない。12月の議会で行政側に質問してほしい。
【質・新藤議員】市民による市民のための合併協議なのではないのか。
【答】市民にはわからないことが多いから我々議員が先導して決めていく。
【質・尾崎議員】合併の推進ではなく、合併協議推進を求めるのなら、決議案の表題と文章を書き直すべき。
【答】尾崎議員の言うとおりです。表題が悪いのなら検討しますが、今回はこれで(決議案を)出している。

質疑の後に小林、染谷、志村各議員が討論に立ち、「推進決議」に道理が無いこと、「推進決議」の内容と答弁が食い違い、無責任な提出であることなどを指摘し、反対を表明しました。

【注1】「決議」や「意見書」など団体意志のの決定に関わるものは、普通は事前に会派代表者会議で相談するものです。余談ですが、余りにも突然だったため会議終了後に予定されていた全員協議会と会派代表者会議及び三市の議長の打ち合わせができませんでした。
【注2】3月定例市議会での「川口市・蕨市・鳩ヶ谷市合併協議会を脱会する決議」は、平成15年度の三市合併協議会への負担金を蕨市の予算から削除することが市議会最終日に決まったのを受けて「脱会決議」が提出されたのであり、当然の流れでした。反対した会派から質疑も討論もありませんでした。しかし、今回の「推進決議」は議案との関係は無く、突然出す必要性がありません。