疑問や不安への説明なく、合併推進を強調 三市合併市民説明会

 市内、各公民館を開場に開催されている「三市合併市民説明会」は、市長や部長、合併担当者など主催者側だけでも毎回十数人が出席するなど、市当局としてはその開催に相当、力をいれているようです。しかし、その内容は、市民が持つ三市合併への疑問や不安に応えるものとはいえません。三市合併をすすめるのに都合のいい情報だけ強調する、という問題点が目につく内容です。
特に疑問を感ずるのは、蕨市は財政難で合併をしなければ破綻もしくは税金など市民の大幅負担増は避けられない、という理屈です。市長はすべての会場で同様の挨拶をしていますが、こうした市財政に対する認識は視聴の得意な認識であり、市議会での共通認識とは、ほど遠いものです。市民を「財政難」で脅し、合併は仕方がないという風潮をつくるための言い方だと指摘せざるを得ません。
川口市についての説明でも、財政力指数などを用いて「蕨市より豊か」に描いていますが、国保税などの負担が蕨より高いことや、膨大な借金があることについては説明がありません。
一方で、「大きな川口に飲み込まれてしまう」「国保税などは、五年間は現状どおりでもそれ以降は川口の水準に引き上げられるのでは」「合併により交付税が減らされる十年後、十五年後はどうなるか」など、素朴に市民が持つ疑問には十分な説明がされていません。こうした問題こそ慎重な検討、説明が行われるべきです。

住民投票についても…
田中市長は、説明会で住民投票について「最終的にきめるのは投票結果ではなく議会」という趣旨のことも言っています。会場からは「条例に『尊重する』という文言を入れては」という質問も出されていますが、きちんと答えていません。市民の声で蕨市の将来をきめる住民投票をどれだけ真剣に考えているのかが、問われるところです。