違法公金支出返還請求裁判で、岡崎春雄議員(自民党)と、鈴木いわお元議員(公明党)の証人尋問が行われる

 一昨年11月8日から10日に総務常任委員会が行った行政視察(日本共産党は不参加)の費用が、目的外に使われたとして争われている「違法公金支出返還請求」の裁判で、予定外の福岡競艇場の「視察」に出向いた自民党の岡崎春雄議長(当時)と、公明党の鈴木いわお議員(当時)への証人尋問が、さいたま地裁で2月1日に行われました。これまで、被告・原告双方の主張が行われてきましたが、それを受けて、関係者である二人への尋問がされたものです。

 競艇場に行った2人の行動について、被告の蕨市は、岡崎議員は当時議長職であり視察先変更の権限を有していたし、岡田栄次総務常任委員長(当時)の了承も得ていたので、手続き上の違法性はない、と主張しています。

一方、原告は、1.2人の行動は総務常任委員会としての決定ではない。2.岡崎議員は議長として視察したのではなく、常任委員会の一議員として行動したのである。3.2人は議長を辞職したり、議員を辞任し、その行動が清廉潔白なものではないことを認めている。と反論しています。

 証人尋問は、「良心にしたがい何事も隠さず」と、2人の宣誓が行われた後、岡崎議員、鈴木いわお氏の順で行われました。主な論点についての2人の証言は次の通りです。(発言は整理して並べ替えてあります。)

●視察先の変更はいつ決めたか
【岡崎氏】初日の夜、ホテルにあった(競艇開催の)ポスターを見て、委員長に「行きたい」と報告した。委員長は「わかりました。どうぞ」と言ったと思う。

【鈴木氏】夕食の席で福岡競艇場の施設改善の話が(岡崎議員から)あり、視察の意味があると判断した。

【岡崎氏】(委員長の了承を得たあと戸田競艇組合議会書記の)萩原さんの携帯に電話を入れ視察を依頼した。翌朝、受け入れるとの連絡が入った。

●競艇場にどう行き、場内でどう行動したか
【岡崎氏】(ホテルから競艇場まで)タクシーで行った。(タクシー代は自分で)払った。

【鈴木氏】決められた視察外のことなので(岡崎氏がタクシー代を)個人負担したと思う。

【岡崎氏】(競艇場には)12時頃についた。施設改善の話を職員から聞いた。食事を出してもらい、午後1時過ぎから午後4時か4時半頃まで(舟券を)4レースぐらい、2万円くらい買った。

【鈴木氏】電光掲示板や発券システムの説明を受けた。(舟券は)4、5レース、数千円買った。

【原告弁護人】職員は最初に説明したあとに退席し、舟券を買う時にはいなかったのですね?

【鈴木氏】はい。

●視察先の変更の手続きは正しいか
【岡崎氏】(委員長が了承すればいいと)思った。(鈴木氏から手続き上の疑問は)出なかった。

【原告弁護人】随行していた蕨市議会事務局の佐藤さんから(変更を)連絡してもらわなかったのはなぜか。

【岡崎氏】佐藤君は総務常任委員会の担当できているので(競艇の件は)私が(戸田競艇組合の)萩原さんに連絡した。私は私でやればいいと思った。

【鈴木氏】委員長が承認したと(岡崎)議長から聞いたので問題ないと思った。

●委員長報告書に競艇場の視察に関する報告がないことについて
【原告弁護人】競艇場に行ったことを蕨市議会事務局に報告したか。

【岡崎氏】言っていない。

【原告弁護人】なぜ報告しなかったかのか。

【岡崎氏】個人的なものなので(しなかった)。戸田競艇組合には報告した。

●議長を辞職した理由はなにか
【岡崎氏】市民に疑惑をいだかれ、議事がスムースにいかなくては困ると思った。

●議員を辞任した理由は
【鈴木氏】体調の問題と、新聞報道により市民の信頼をそこねたと感じた。

 証人尋問では、当時の行動について2人がどう述べるか注目され、傍聴者も多く約20名でした。残念ながら、間違った視察であったとか、旅費を返還したいなどの、反省の弁は聞かれず、議長辞職理由は「議事がスムースにいかなくては困ると思った」から、議員辞職理由は「新聞報道」によるなど、責任を他に転嫁するものでした。

 日本共産党市議団は、原告の訴えを市が受け入れ、2人に旅費の返還を求めるべきことを、裁判開始当時から表明しています。この日の公判は、志村茂団長と、かじわら秀明市議が傍聴しました。次回は最終弁論の予定で、3月15日(水)午前10時15分から同地裁で行われます。だれでも傍聴できます。